« 1Q84 | トップページ | 不完全、不確定、不可能 »

2012年8月17日 (金)

こころ

夏の休暇に読みたいと思っていた本です。高校生の頃から読みたいと思っていたがなぜか今まで読むことがなかった。

この前に「1Q84」を読んだ。「1Q84」ではセックスは挨拶代わりでするものであったが、「こころ」は愛、金、思い込みそして裏切りに関する人間の心理を見事に描いているがセックスのシーンは1つとしてない。扱っているテーマは2つとも同じといえるが、村上春樹の小説が現実と幻想の世界であるのに対し夏目漱石のそれが現実世界であるからか?

「こころ」の中で最も面白く、読めたのは「先生と遺書」である。お嬢さんをめぐってライバル関係にあったKが自殺したのはなぜか?お嬢さんと知り合ったのは先生の方が先であり、奥さんが先生とお嬢さんが結婚することを承知したのだから、仕方ないとは考えられなかったのか?また先生も自殺しなければならなかったのはなぜか?先生はKの遺書を最初に読みそこに自分の裏切り(恋の駆け引きを裏切りというかどうかも疑問であるが)に対する恨みつらみが書いてなかったことに安堵する。お嬢さんや奥さんに悪く思われたくないという気持ちと物足りなさがとてもよく描写されている。先生はKの自殺後、お嬢さんと結婚し学問に傾倒する。しかし、自分が、自分に正直であったKを追い込み、裏切り自殺に追い込んだ重みに耐えきれず自殺してしまう。人生はコントロールできるものと考えられる人だからそうしてしまったのだろうか?

それに比べ、先生や私を取り巻くおじさんや両親の俗物さの描写も面白い。自分の利益のためであれば、多少の裏切りや見栄は当然という普通の人々である。わたくしも後者の人々に属する。だからこそ先生や私みたいな時代があったことを懐かしく思うのかもしれない。

« 1Q84 | トップページ | 不完全、不確定、不可能 »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/154346/46724538

この記事へのトラックバック一覧です: こころ:

« 1Q84 | トップページ | 不完全、不確定、不可能 »