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2008年8月19日 (火)

ポアンカレ予想

この本はポアンカレ予想が生まれ100年後ついにそれが証明されるまでの数学史を描いたものである。NHKでも特集番組が組まれコンピュータグラフィックスを使用した興味深い内容となっていた。その番組の中でもまたこの本の中でもポアンカレ病という数学病がありこの100年の間に何十人もの数学者がこれで命を落としたということである。

ポアンカレ予想が証明されたことでわれわれの住んでいる宇宙の形を調べる方法を手にいれた。神様のように宇宙の外から見まわさなくても内部から調べられる。実現できるかどうかは別問題であるが。それにしても人間の探究心は果てがない。ポアンカレ予想のように100年後にペレルマンにより証明された予想も100年の積み重ねがあったからであり、それがなかったら証明は難しかったのではないか。どんな仕事も先達の業績の上に新たな成果が得られる。

ポアンカレは若い時に3体問題を解いてオスカー賞を受賞した。3体問題は地球の軌道が安定しているかどうかを問うものである。地球がある日突然、軌道を外れ宇宙の浮浪児になってしまうのではないかという問題である。ポアンカレはこれに対し解(近似解らしい)を与え見事賞を射止めたが証明に見落としがありそれを修正するのに大変な努力をすることになった。そしてカオスを発見した。これができることが天才の天才たるゆえんであろうが天才でも失敗しそのことでその後の発表では慎重になり、この予想もごく控えめに発表されたという。

ペレルマンがフィールズ賞を辞退しミレニアム賞の賞金100万ドルにも興味を示さないとうのは面白い。世俗から超越している。興味の対象が異なる。数学に対してストイックなど言い方はいろいろあると思うが、ペレルマンから見れば下世話な話題(一番乗り、賞金をどう使うかなど)に心を乱したくたくないのであろう。

ポアンカレ予想は100年後証明されたが、証明までに400年掛ったケプラー予想、350年を要したフェルマーの予想、100年以上経過していいるのに証明されていないリーマンの予想などに挑戦している数学者は最高の知性と共に最高の忍耐力を持ち合わせた人たちである。

ポアンカレ予想―世紀の謎を掛けた数学者、解き明かした数学者 Book ポアンカレ予想―世紀の謎を掛けた数学者、解き明かした数学者

著者:ジョージ G.スピーロ
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