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2008年4月13日 (日)

カラマーゾフの兄弟

20数年前、まだ高校生だった頃に米川正夫訳の「カラマーゾフの兄弟」に挑戦し,そして何とか読み終えたが、今また亀山郁夫訳の「カラマーゾフの兄弟」を読み直してみると改めてこの小説の面白さを分かったような気がする。前回のことで覚えていることはゾシマの腐臭とコーリャ少年が犬を厳しく躾け、鼻先に肉をぶら下げられた犬が必死に待てを続ける姿などおよそこの小説の主題とはかけ離れたどうでも良いことばかりである。しかし人間が覚えているのはおよそそうしたどうでも良いことが多いのかもしれない。この小説のなかでもそのような記述がある。しかし今回読み直してみて本当に良かったと思う。ゾシマ長老の修行時代、彼に14年前の殺人を告白し、更にそれを公にするか苦悩する場面は迫力がある。一時の衝動で罪を犯してしまった人間の苦悩を見事に記述している。これなどは高校生だった頃には理解できたか?ゾシマ長老には深い人間愛を感じる。彼は言う。どんな人間も罪人である。人間が人間を裁くことができるのだろうかと。世間体を気にする必要はないと。世間体から自由になった時天国が見える。キリストと大審問官、プロとコントラ、スネギリョフ大尉とカテリーナなど3兄弟以外にもこの小説には対比が見事で面白い。ただ勧善懲悪ではなく深い。第3部以降の父親殺しの場面、それに続く、カーニバル的な大騒ぎ、取調べ、裁判、裏切り、悔悛、イリューシャの死、未来へのエピローグと物語は多層的にめまぐるしく展開する。

この小説はいろいろな読み方が出来ると思うが、最も心打たれるのはやはりゾシマ長老の「傲慢な心を持たず謙虚に生きる」ことであるように思う。とかく傲慢になるがちな私にとっては周りの人に感謝することの大切さを教えてくれものである。といっても直にわすれてしまうだろうが。

またいつの日にか再び読み直したい小説である。

カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫) Book カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)

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