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2007年7月15日 (日)

ハイゼンベルクの顕微鏡

本書は速度と位置を同時に知ることはできないというハイゼンベルクの不確定性原理を小澤が再検証し新たな不等式を提案したことを解説したものである。量子レベルでは速度と位置がもともと揺らいでいるのか、あるいは電子のようなようなごくごく小さなものの測定をするために光を当てると速度と位置が変化してしまうのかは同じようなことを言っているようでも異なる。ハイゼンベルクの論文はもともとは後者の意味であったらしい。そのあと直にレナードは前者の意味で数学的な裏づけを行いハイゼンベルクもそれを支持したということである。大雑把に言えば「小澤の不等式」は両者を取り込んでより一般的な数式にしたものと言える。

本書ではハイゼンベルクは量子力学に点睛をしたと表現している。原子や電子の量子レベルの動きに関しては不確定性原理を待つまでもなく分かっていたが量子力学を完成させるためにはハイゼンベルクの不確定性原理が必要であった。なるほど量子力学はなにかという問いかけには古典力学の基本の考えとは全く異なる不確定原理を紹介するのが最適と思われる。

「小澤の不等式」も時代の要請により生まれたと思う。半導体は量子力学の成果であるが半技術の進歩の進歩によりより集積度の高い半導体が作成されるようになると現象と測定を正しく解釈できる理論式が必要になる。また重力波の測定などこれまでとは比較にならない高い精度の測定が必要になるらしい。そのような場合ハイゼンベルクの式では一方がゼロにそしてもう一方は無限大になってしまうということであり事実と合わなくなってしまうということである。

著者の石井も指摘しているが新たな理論は最初は受け付けられないことが多い。そんな中でこの「小澤の不等式」が実証という試練を乗り越えて新たな基本原理となって欲しい。この本は量子力学に貢献したアインシュタイン、シュレジンガー、ランダウ、パウリ、ボーアといった物理学者やヒルベルト、ノーマンなどの数学者のエピソードそして日本の学者や企業の紹介も豊富で面白い読み物となっている。

ハイゼンベルクの顕微鏡~不確定性原理は超えられるか Book ハイゼンベルクの顕微鏡~不確定性原理は超えられるか

著者:石井 茂
販売元:日経BP社
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