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2007年4月22日 (日)

ケプラー予想

この本は約400年前にヨハネス・ケプラーが予想した球の最充填問題が証明されるまでの物語である。コペルニクスからニュートンにつながるわれわれの宇宙観を変えたケプラーの予想である。決められた箱の中にどのように球を配置すれば最も詰められるかという、日常生活でも必要になる問いである。正解は果物屋が店先にオレンジを積み上げる方法であり、物理学者たちは1998年にこの問題が解決されたと知っても何も驚かなかったという。もちろんこれはケプラーの予想通りの結果であったことに安堵したということであり、証明したヘールズの不屈の努力に賞賛を惜しんだわけではない。果物屋がオレンジを積み上げる時にはそれぞれのオレンジは規則的に並べられる。その方法はガウスがエレガントに証明した。この問題の難しさは隙間が合っても良い、並べ方は不規則で良いところにある。このためヘールズは証明のために工学的な?手法を採用した。パターン分類し、すべてのパターンについて検証をおこなったのである。わたくしも数学の証明とは背理法や帰納法、演繹法を用いて行うものだと思っていた。しかし高校時代、数学の先生が「全てのパターンについて証明できればそれは証明になる」といったことを聞いて証明に対する見方が変わった覚えがある。ヘールズの証明にはコンピュータが使われた。というよりコンピュータなしには証明は不可能だったらしい。ガボル・フェイエシュ=トートを責任者とする査読チームはコンピュータコードの検証に4年間精力的に取り組み99パーセントで正しいという結論を出したという。ただ精魂尽き果てて解散したという。コンピュータに関する記述部分も面白かった。最適化問題にコンピュータがどのように使われているかの概観がある。しかし400年来の難問に挑戦した人々の不屈の精神、そして継続性には脱帽である。一歩一歩証明が前進していったことが分かる。ヘールズは蜂の巣問題にも取り組み(これは2000年来も難問)、従来の数学的な証明を成し遂げた。非凡な数学者であることは間違いない。

ケプラー予想 Book ケプラー予想

著者:ジョージ・G・スピーロ
販売元:新潮社
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2007年4月 4日 (水)

素数の音楽

この本には魅力的な人物がたくさん出てくる。いづれも最高の知性の持ち主で数学が好きな人たち。コンピュータも出てくるがその役割は低い。全編を通じて感じたのはガウスの素数に対する見通しの確かさである。素数表を見てコイン投げの要素を取り入れた素数の分布を予想する関数を作成してしまう。またそれがカオスの考えを入れた現代の素数理論に通じてしまう見事さ。ガウスもオイラーもそしてリーマンも計算の名人でありともかく数字をいじくりまわすのが大好きな人たちだ。昔予備校の先生が手を動かさないわれわれに向かって手が自然に動くまで勉強しないとだめといったがなんだか通じるところがある。膨大な計算をしているうちに深遠な真理にたどりついたのだろうか。

リーマンの予想がなんなのか。ガウスの素数関数とゼータ関数からゼロ点(これも良く分からないが)と素数の関係を予想した式であるらしい。ゼロ点が1/2の線上に分布していることを証明できればいいらしい。そのようななかでモンゴメリーが双子の素数が近接しているのだからゼロ点も近接していると考えた(しかし実際にはそうでなくまた新しい展開が開ける)のは私もそう思ったので数学者もそのような発想をすることを知って安心した。

ラマヌジャンはこの本の中で異彩を放つ人物である。過去の業績や周りの人たちがやっていることを理解するのではなく、数の本質を理解しようとする。結局最終的にリーマンの予想を証明できるのは新たな発想ができる数学者であると著者であるソートイは述べている。

新しい言葉を獲得することにより理解が深まる。また新しい視点が得られる。どうも自分みたいななまけものは今ある知識で満足してしまうが一生を棒にふるかもしれないリーマンの予想の証明に人生をかける勇気ある数学者がいるから数学、そして科学が進歩してゆくのだということは分かった。

素数の音楽 Book 素数の音楽

著者:マーカス・デュ・ソートイ
販売元:新潮社
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