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2007年3月 4日 (日)

ビッグバン宇宙論

サイモン・シンならではのタッチでとても分かりやすく古代から現代に至る宇宙論を展開している。地動説と天動説、定常宇宙論とビッグバン宇宙論をそれぞれの論点から比較した表はとても分かりやすい。時代とともにその表の項目の評価が変化して行き優劣が定まる様は人間の理解が確実に深まってゆく様子を示している。また登場人物が生き生きと描写されている。訳者あとがきでも触れられているビッグバン宇宙論を展開したジョルジェ・メルートルは私も初めて知った。神学者であり科学者であるがゆえにうがった見方をされたことと思う。彼自身は「科学と宗教を混同することはない」と明言している。しかしファイマンが言うように(その直感があっているかはともかく)直感が人を動かす。したがって聖書の「光あれ」は科学者にインスピレーションを与えたのではなかろうか。その他にも民間企業のATTで電波望遠鏡が発明された経緯、それを更に発展させて宇宙マイクロ波背景放射の発見に至る経緯は、損得を超えた人間の善意がもたらした発見ではなかったか。定常宇宙論推進者のホイルが元素合成の問題を解決しビックバン宇宙論の基礎固めをするなど多くのドラマがあり生き生きとした宇宙論になっている。そのにしても量子力学の世界では無から有が生まれるというおよそ現実の世界からは推測できないことが生じているという。サイモン・シンには量子論の話も書いて欲しいと思う。

ビッグバン宇宙論 (上) Book ビッグバン宇宙論 (上)

著者:サイモン・シン
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